プレビュー(少しだけ試し読み)
はじめに (不正事例の共有)
これは海外で活躍したCFO(財務責任者)の話ではありません。海外で数多くの失敗をしたCFOの話です。例えば、誰よりも信頼していた管理職が、不正の張本人でした…。会社のお金が、存在しない社員に支払われていました…。会社の車が、夜になるとタクシ...
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事件簿 1 : 信頼は美徳。しかし、内部統制は必要である
【スクラップ不正販売スキーム】インドネシアに赴任して最初に覚えた言葉は、「Selamat pagi(おはようございます)」だった。会社の中を歩くと、社員たちは笑顔で挨拶をしてくれる。「Selamat pagi, Yoda-San!」まだ名前...
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事件簿 2 : 不正対応では、時間もまた敵になる
【不正調査と証拠保全】翌朝、私は総務マネージャーを呼んだ。もちろん、この時点で彼を問い詰めるつもりはなかった。相手に警戒されれば、証拠は消える。私は、何も知らないCFOを演じることにした。「スクラップの管理方法を教えてください」彼は即座に答...
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事件簿 3 : 会社を守る決断は、孤独である
【法務・労務リスクへの対処】証拠は、ほぼ揃っていた。スクラップの不正。中心人物は総務マネージャー。労働組合の幹部も関与している。社員からの証言も集まり始めていた。普通の推理ドラマなら、ここで犯人を呼び出し、「あなたですね」で終わる。ところが...
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事件簿 4 : 小さなキックバックは組織を静かに腐らせる
【キックバックスキーム】総務マネージャーが退職した。「これで終わった」私はそう思っていた。しかし、終わっていなかった。私は、彼が担当していた業務を一つひとつ洗い直すことにした。すると、別の不正が見つかった。まず見つかったのは、日本人駐在員の...
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事件簿 5 : その社員、本当に存在しますか?
【架空社員スキーム】(今度は、人だった……)総務マネージャーの担当業務を洗い直していると、給与台帳に気になる名前があった。3人の社員。給与は、毎月きちんと支払われている。ところが、「この3人、誰だ?」誰に聞いても、はっきりした答えが返ってこ...
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事件簿 6 : 人は「見られている」と思えば不正をやめる
【軽油窃盗スキーム】インドネシアへ赴任して間もない頃、不思議な光景を目にした。道端で、小瓶に入った液体を売っている人たちがいた。私はそれが何なのか分からず、運転手に尋ねてみた。「あれは何を売っているの?」運転手は、何でもないことのように答え...
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事件簿 7 : 在庫は嘘をつかない。嘘をつくのは人である
【棚卸資産窃盗スキーム】「製品が一本足りません」ある顧客向け出荷の準備をしていた時、倉庫担当者からその報告を受けた。在庫データ上は、確かに存在する。しかし、現物がない。「棚卸差異か」管理体制が甘い会社であれば、棚卸減耗損として処理されていた...
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事件簿 8 : 善意ほど、内部統制を弱くする
【領収書改竄スキーム】インドネシアでは、多くの企業が福利厚生の一環として、年に一度、社員旅行(Family Gathering)を実施している。レクリエーションがそれほど多くないインドネシアでは、この社員旅行は、社員にとって一年で最も楽しみ...
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事件簿 9 : 例外には、必ず理由がある
【社用車不正使用スキーム】私がインドネシアへ赴任した当時、一般家庭で自動車を所有している割合はまだ少なく、125cc程度のオートバイに家族4人で乗って移動している光景をよく目にした。日本では考えにくいが、それが当時のインドネシアでは日常の風...
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事件簿 10 : 会社が忙しい時ほど、不正は動き出す
【購買パススルースキーム】約2年間、私は工場移転プロジェクトに追われる日々を送っていた。今振り返っても、できれば二度と経験したくないと思うほど重いプロジェクトだった。移転候補地の選定から資金調達、行政対応、設備レイアウトの設計、機械の移設、...
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事件簿 11 : 自白は証拠の後からついてくる
【面接の技術】私は、面接(インタビュー)が得意だったわけではない。むしろ、不正調査において勝負が決まるのは、面接が始まる前だと思っている。どれだけ証拠を集められたか。どれだけ事実を積み重ねられたか。被疑者との面接は、証拠を探す場ではない。集...
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参考 : これらの 11 の事件を不正体系図で見る
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まとめ (事例から学んだ内部統制11の原則)
11の事件を振り返ると、不正の手口も、発見のきっかけも、それぞれ異なっていました。しかし、現場で不正と向き合う中で、繰り返し感じたことがあります。それは、内部統制とは難しい制度や規程から始まるものではなく、日々の仕事の中にある小さな違和感を...
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セルフチェックリスト (あなたの会社は大丈夫?)
―「海外子会社CFOの事件簿」から生まれた30の質問 ―ここまでの事件簿では、さまざまな不正を取り上げてきました。手口はそれぞれ違います。しかし、振り返ってみると、「ここを確認していれば、もっと早く気づけた」というポイントがあります。不正を...
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コラム (宗教と不正 - 敬虔な人がなぜ不正をするのか)
インドネシアで長く仕事をしていると、一つの疑問を抱くようになった。「毎日礼拝を欠かさず、ラマダンも厳格に守る人が、なぜ横領や不正をしてしまうのだろう」宗教が生活に深く根付いている国だからこそ、私には不思議だった。そこで、イスラム教と不正につ...
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おわりに
ここで紹介した十一の事件は、どれも私がインドネシアで実際に経験した出来事です。決して特別な会社で起きた話ではありません。むしろ、どの会社でも起こり得る、決して珍しいとは言えない出来事だったと思います。私は、不正を摘発するために仕事をしてきた...
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プロフィール
著者:依田 英二 銀行勤務を経てメーカーに転職。米国、香港、シンガポール、インドネシアで海外子会社の経営管理に携わる。特にインドネシアでは約10年間、CFOとして財務・会計、税務、内部統制・ガバナンス、不正対応などを...
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